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土地・建物(マンション・アパート・店舗・事務所等)を賃借する借主の居住トラブルの解決をお手伝いする組合です。
原状回復費用は借主が支払うものか
それとも全く支払う必要はないのか
(問) 4年間生活した部屋を綺麗に掃除して明け渡した。しかし、家主は敷金を返還しないどころか契約書の原状回復条項を楯にして、追加27万円を原状回復費用として請求してきた。この費用を総て借家人の負担で支払わなければならないのか。
(答) 原状回復の規定は民法598条/616条を根拠にしている。借主は、賃借物に設置物を取り付けた場合はそれを取り除き、運び込んだ物は撤去する。民法では、原状回復義務は、賃借人の収去義務のことであって、「借りた当時のまっさらの状態へ戻す」という意味での賃借人に「原状回復義務」が課されている訳ではない。
判例は「一般的に、建物賃貸借契約に原状回復条項があるからといって賃借人は建物賃借当時の状態に回復すべき義務はない。賃貸人は、賃借人が建物を通常の状態で使用した場合に時間の経過にともなって生じる自然の損耗、汚れによる損失は賃料として回収しているのであって賃借人に負担させるべきではなく、原状回復条項は賃借人が故意、過失によって又は通常でない使用をしたために建物の棄損等を発生させた場合の損害の回復について規定したものと解するのが相当である。」(東京簡判平成7年8月8日)。
相談者は、賃貸借契約に基づいて建物を通常の使い方によって使用するとともに、善良な管理者の注意義務をもって賃借物件を保持、管理した。4年の使用中には多少の汚れ、損耗は認められるかもしれないが、いずれも時間の経過による自然汚損・損耗である。通常使用に従った使用に必然的に伴う自然汚損・損耗は原状回復義務の対象にならない。
因って、「賃貸目的の返還にあたって自然の損耗や汚損についての改修の費用を負担して賃貸当初の原状に復する義務を負っているとは認められない。したがって、仮に賃貸人が賃貸当初の原状回復のためにこれらの費用を支出したとしても、それを賃借人に請求し、あるいはそれを敷金から差し引くことは許されない。」(京都地判平成7年10月5日)とあるように、退去時の原状回復費用を相談者が負担すべき理由ない。それを、賃借人である相談者に請求することは許されない。又、勝手に敷金から差し引くことも許されない。
東京・台東借地借家人組合
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